「きれい」と感じた、その心を大切にしたい
作品づくりをしていると、
時々、素材を前にして考えることがあります。
「美しいものは、どこで生まれるのだろう。」
日本でしょうか。
ヨーロッパでしょうか。
それとも、今ではもう、
そんな国という枠組みだけでは語れないのかもしれません。
世界には、さまざまな場所で、
さまざまな人の手や技術によって生まれたものがあります。
長い歴史の中で受け継がれてきた手仕事もあれば、
現代の技術によって量産されるものもある。
私は作品に使う素材を探すとき、
まず、その背景を知らないまま目にすることもあります。
そんなとき、一番最初にあるのは、
「きれい。」
「この色が好き。」
「この世界観に惹かれる。」
という、とても純粋な感覚です。
そして私は、
この最初に心が動いた瞬間を
大切にしたいと思っています。

「どこで作られたか」を知った、そのあとも
ものの背景を知ることは、とても大切です。
どこの国で作られたのか。
どんな技術が使われているのか。
手仕事なのか、量産されたものなのか。
誰がデザインしたものなのか。
知ることで、より深く好きになることもあれば、
自分なりに考えるきっかけになることもあります。
けれど一方で、
「量産品だから」
「この国で作られたものだから」
そんな後から得た情報や、
自分の中にいつの間にかできていたイメージによって、
最初に感じた
「きれい。」
という気持ちまで、
なかったことにしてしまう必要はないのではないかと思うのです。
背景を知り、考えることと、
自分の心が何に動いたのかを、
きちんと覚えておくこと。
その二つは、
どちらか一方を選ばなくてもいいのだと思います。

自分の感覚を見失わないために
これは、ものづくりだけの話ではないのかもしれません。
誰かの評価を知った途端、
素敵だと思っていたものが素敵に見えなくなったり。
反対に、
評価されていると知ったことで、
本当はそれほど心が動いていなかったものを
「きっと良いものなのだ」と思おうとしたり。
私自身にも、きっとあります。
情報を知ることは、
世界を見る目を広げてくれます。
けれど、情報が増えれば増えるほど、
「私は最初、どう感じたんだろう。」
という自分自身の感覚も、
大切にしていたいと思うようになりました。

素材との出会いから、作品へ
Petite Raraの作品づくりも、
そんな小さな心の動きから始まります。
光を受けたときの色。
ガラスの奥に見える模様。
少し不思議な形。
思いがけない色の組み合わせ。
「この素材、好きだな。」
そう感じたものを手に取り、
「作品にしたら、どんな表情になるだろう。」
と考える。
その素材をそのまま使うこともあれば、
いくつかの素材を組み合わせたり、
宝石箱などの一部として仕立てたり。
もともとあった美しさに、
私自身の感性や手仕事を重ねながら、
Petite Raraの小さな世界へと育てていきます。
もちろん、その背景にいる人たちへの敬意も
忘れたくありません。
誰かが考えたデザイン。
素材を形にする技術。
受け継がれてきた手仕事。
現代だからこそ可能になった技術。
国も、文化も、作り方も違う、
たくさんの仕事の先に
今、私の手元にある素材があります。
手仕事だから美しい。
量産だから美しくない。
ある国のものだから良い。
ある国のものだから良くない。
そんなふうに、
ひとつの物差しだけで決めてしまうのではなく、
まずは自分の目で見て、
自分の心がどう動いたのかを感じてみる。
そのうえで背景を知り、
考え、自分なりに選んでいく。
私は、そんな順番を大切にしたいと思っています。

おわりに
「きれい。」
ほんの一瞬の、
とても小さな心の動き。
けれど、それはもしかすると、
誰の評価も、どんな情報も入る前の、
自分自身の素直な感覚なのかもしれません。
あとから何かを知ったとしても、
その瞬間に自分が感じたことまで
取り消さなくていい。
背景を知ることも大切にしながら、
最初に心が動いた自分自身の感覚にも、
ちゃんと耳を澄ませていたい。
ものづくりを続けながら、
私はこれからも世界のさまざまな素材と出会い、
「きれい。」
と心が動く瞬間を大切にしながら、
そこに私自身の感性と手仕事を重ね、
Petite Raraらしい小さな景色を
紡いでいきたいと思っています。

Petite Raraについて
作品やものづくり、その背景にある想いを
ひとつのページにまとめています。
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